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マネーゲームパロ!



目に見えないファンド
急成長を続ける仮想マネー
男はそれらを使い、人の心を機械的に操っていく

1と0に支配されていない世界
男にとって、そこは一人いればよかった
そう、たった一人の少年が男の「自分が機械でない」と知る唯一の方法


これはいびつな機械と少年の話
『数字と数字以外と、』




相棒ともいえるパソコンを休止状態にして一息つく。今日も元値の倍近く資産を増やすことができた。今日、目をつけた株式会社はあまり期待していなかったが、最初に大きく投資したことで、他の投資者の目を惹きつけ一気に加速した。
これは仮想マネー。膨れ上がるのも早いが消えるのもまた早い。そのタイミングは唐突のように見えて前兆がちゃんとある。それの見極めは経験がものを言うという人もいるが、俺に言わせてもらえば計算で全て出せる。機械的に0と0、0と1、1と1を結ぶように必然だけを繋いでいく。それができないから他人は「慣れ」という曖昧な言葉を使うのだ。これが俺の持論。
そして今がその時。今も大幅に成長しているように見えるがここが引き際だと、手を引いた。

それにもうすぐあいつが来る。



時は日曜日の昼過ぎ。マンションのインターホンが鳴った。モニターを見ると想像した通りの姿があって少し笑う。入口の解除ボタンを押し、扉を抜けるのを確認するとモニターの液晶はまた暗くなった。冷やしていた飲み物をグラスと一緒にテーブルに置いてから玄関のカギを開けに行く。
「ロー!!開けろ―!遊びに来たぞ!!」
丁度着いた所だ。玄関ロビーからここに着くまでの時間は毎週訪問されていれば嫌でも覚える。だから到着するまでに飲み物を用意するなんて造作でもない。玄関の扉を開けてやると待ちきれないとばかりに飛び込んできた。
「ししし!久しぶりだな、ロー!!」
「一週間が久しぶりって言う期間には思えないな」
「こまけェ事は気にすんなって!」
サンダルを脱いだ麦わら屋はズカズカと部屋に入っていく。そしてリビングにあるぬいぐるみにダイブした。
「ベポも久しぶりだなー!!」
白クマのぬいぐるみの胴体に腕をまわしギュウと音がしそうなくらい抱きしめる。
「やっぱりふかふかだなあ。あ〜あ、気持ちいい〜」
本当に気持ちよさそうだ。
ポフ
「・・・何やってんだ?ロー」
ベポごと麦わら屋を抱きしめると、麦わら屋が問いかけてくる。
「癒し」
見ているだけでも十分だが、もっとほしいと思う。
「欲があることが人間なんだ」
「?」
そう、俺は機械じゃない。




『そして君』






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