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とある病院の朝





「あー!!あの時の司令官!!」
朝からうるせえ。こちとら2日連続の夜勤明けでキツイんだよ。だいたいここをどこだと思ってんだ。病院だってーの。でかい声出してんじゃねえよ。若いやつはそんなことも分かんねえのか?これだから近頃の若いやつはとか言われるんだぜ。若いやつと言えば、さっきまで夜勤で一緒だったヤツは使えなかったなあ。今まで他の基地病院でどんな訓練を受けてきたんだよ。1からやり直せってんだ。まあ、若いといっても俺より年齢は一回り上だが。
つらつらととりとめのないことを頭に思い浮かべては消していく。しかし、その思考は後ろからの衝撃で中断されることになった。すれ違ったと思った兵士の不意に背中をたたいたというか、タックルしたというほうが正しい衝撃によって。
「なあ!おめえ、あのと」
そいつにとって不運だったのは、俺が寝不足だったことと機嫌が悪かったこと。その二つがあいまって、俺は邪魔者でしかないそいつを排除しようとした。考えるより早く身体が動き、結果としてそいつを投げ飛ばすという通常時の冷静な俺ではありえない行動をとらせる。

間。

床に叩きつけた運の悪いヤツを一瞥することなく、一瞬シンとした廊下を進む。向かうのは主任室。今の自分には睡眠が絶対的に足りない。
「ってーな。おい、お前!なんでいきなり投げんだよ!!」
「ああ?大声出してんじゃねえよ。ここをどこだと思ってやがる」
手加減なんてほとんどしなかったのにすぐに復活するなんてどれほどタフなんだよ。軽く驚きながら、たった今伸したヤツを初めて見た。
「病院。「あ」」
コイツ、この前の麦わら屋じゃねえか。麦わら屋はあわてた様子で口に手を当てた。
「ごめん」
呟くように言って言葉はさっきまで騒いでいたことに対する謝罪だろう。
「あー。俺こそいきなり投げ飛ばして悪かった。怪我してないか?」
投げ飛ばしておいて何を言うか、と自分でも矛盾を感じる。
「こんくらい何ともねー」
しっしっし、と特徴的な笑い方。変なヤツ。しかし、ほんとに怪我はしていないようだ。
「麦わら屋は丈夫だな」
「あ、その呼び方。おめえ、やっぱりあの時の司令官だよな」
あの時っていうのはこの前の輸送任務のことだろう。
「ああ、そうだ。陸軍の兵士に軍用機飛行許可を出したのは、後にも先にも俺だけだろうよ」
「あんときはありがとうな!」
「気にするな。こっちとしても麦わら屋がいて助かったからな」
結果的にあの時の判断に狂いはなく、無事にあの場を切り抜けることができた。
「でも、やっぱり、おめえがいなかったらできなかったと思うしさ」
なかなか嬉しいことを言ってくれる。部下の全員がこんなのばっかりだったら上に立つ者も楽になると思うのだが。
「しっかし、お礼を言おうにも船降りたらどこにもいねーし、あの後の船の司令官は違うヤツだし、陸軍にも海軍にもいねーし、探したんだぞ」
「そりゃそうだ。俺は軍医で、あのときは臨時の司令官だったからな」
軍医は技官としてどこの部隊にも属していない。あえて言うならそれこそ軍医という枠組みに分類されるのであろう。
「ところで、おめえ、なんていうんだ?」
「名前を尋ねるときは自分から名乗れって言われなかったのか?」
「あ、それもそうだ。俺、ルフィ」
「トラファルガー・ローだ」
「トラ・・・?」
「ローでいい」
「ロー!」
「なんだ」
麦わら屋はおもむろに俺の手を握ると言った。





「これからよろしくな!」










<< END >>


自己紹介編でした。これくらいかわいいのがいい。殺伐としてるのもそれはそれでおいs(ry

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